なぜ型が要るのか
「手順書を整えましょう」という話だと思われがちですが、狙いが違います。 我々の4つの型は、右腕(AI)の苦手を、1つずつふさぐ形で並んでいます。
オレンジの2つが、人が必ず関わる型です。右腕だけでは閉じません。
仮説 この対応づけは我々の設計意図であって、研究で確かめられたものではありません。
4つの型
| 何を書くか | 起点(何が起きたら始まるか)/終点(何をもって終わりか)/前後に誰がいるか |
|---|---|
| 書けたと言える条件 | 起点と終点が1文で言える。前後に誰がいるかが書いてある |
| ふさぐ苦手 | 右腕は、どこから始めてどこで終わるのかを知りません |
| よくある失敗 | 終点が言えない。言えないなら、それは仕事の切り方が大きすぎるしるしです |
| 何を書くか | 工程ごとに、誰がやるか。とくに「人が必ず見る箇所」を名指しで |
|---|---|
| 書けたと言える条件 | 人が必ず見る箇所が、名指しされている |
| ふさぐ苦手 | 🔴 右腕は自分の答えが正しいかを判定できません。だから検収の場所を人が持ちます |
| よくある失敗 | 🔴 右腕に書かせると、人の出番が少なめに書かれます。ここだけは必ず人が読み直してください |
4つのうち、いちばん効くのはこれです
手順書が多少雑でも事故りません。役割分担が抜けていると事故ります。
任せた仕事が事故るのは、人が見るべきところを人が見なかったときだからです。
この型に必ず入れる4項目を、我々は固定しています。
| 人が必ず持つもの | 理由 |
|---|---|
| 戻せない操作(消す・支払う・公開する) | やり直せません |
| 相手に届いてしまうもの(送信そのもの) | 文面を作らせるのは構いません。送るのは人 |
| 🔴 「無い」ことの確認(該当なしの判定) | 右腕は原理的にこれができません |
| お金と身元に関わる判断 | 金額の決定・契約・本人確認 |
| 何を書くか | この会社では、どうやるのか。一般論ではなく、自分の職場のやり方 |
|---|---|
| 書けたと言える条件 | 書いた人がいなくても、読んだ人が同じ結果に着ける |
| ふさぐ苦手 | 右腕はあなたの会社のやり方を知りません。教えないと、ありがちな正解を返します |
| よくある失敗 | 長すぎる。長い手順書は読まれません。1枚に収めてください |
| 何を書くか | 完了の条件を、○×が付く形で。そのまま次の工程への申し送りになる形で |
|---|---|
| 書けたと言える条件 | ○×が付く。曖昧な項目が無い |
| ふさぐ苦手 | 🔴 「漏れはありませんでした」は証拠になりません。人が○×を付けられる形に落とします |
| よくある失敗 | 付けた率だけを見る。見るべきは、次の工程がそれを実際に開いた率です |
この型だけ、役割が2つあります
完了の判定であると同時に、前の工程から次の工程への申し送り票を兼ねます。
学術 引き継ぎの様式を定めた研究では、医療過誤が23%減ったという結果があります。
仮説 ただし「兼用させる」という設計自体は、我々の工夫で、検証されていません。
書き方
ふつうの標準化は「まず手順書を整備する」から始まります。我々は逆です。
| 回数 | やること |
|---|---|
| 1回目 | 型は作りません。そのまま頼んで、やり取りしながら通します |
| 2回目 | 「さっきと同じことをやる」と気づいた瞬間が合図。1回目のやり取りから型を起こします |
| 3回目以降 | 型を使い、合わなかったところだけ直します |
1回目に書かないのは、何が要るかが1回目には分からないからです。 1回通してみて初めて、どこで迷ったか・どこで人が判断したかが見えます。
1回目のやり取りを右腕に見せて、書かせます
人が型を書こうとすると、まず手が止まります。「うまく書こう」としてしまうからです。
右腕には、さっきのやり取りが残っています。
「いまのやり取りから、4つを起こして」と頼めば出ます。
人の仕事は、出てきたものを読んで直すことです。書くことではありません。
ただし、出てきたものを人が必ず確かめる場所が1つあります。② 役割分担です。 右腕は、自分で判断できることを多めに書く傾向があるからです。
学術 「書かれた手順」と「実際の行動」がずれるのは、構造的に起きることで、消せません。 我々は消そうとせず、ずれを測り続けることにしました。
| 測るもの | 型の古び方 — 3か月経った型で1件通し、現実と食い違った項目の割合を数える |
|---|---|
| ゼロにはなりません | 理論がそう予言しています。「何%までなら生きている型と言えるか」を自分の事業で決めます |
正直に
| # | 答えられないこと | なぜ |
|---|---|---|
| 1 | 🔴 「4つ」で本当に足りるのか | 我々の発明です。この4分類の妥当性を確かめた研究はありません。分類しづらい仕事を無理に押し込むほど、見た目だけ整います |
| 2 | 型を先に作らない、という順序が正しいのか | 理論とは向きが合いますが、この設計そのものを試した研究はありません |
| 3 | 2件目以降が、その型どおりに回るのか | 1件を通した記録は、その1件の条件を写しただけかもしれません |
| 4 | チェックリストを申し送りに兼用することの効果 | 事故が減ることまでは言えます。成果が上がるとは主張しません |
今回の調査で分かった、直す方向
我々の型は文章で書かれています。そのため、
「書かれた手順」と「実際の行動」のズレを機械で測る技術に、掛けられません。
型の一部だけでも機械の読める形にすれば、最大の弱点に機械で答えられます。
これは、今回の検証で見つけた宿題です。