# 【サポート依頼】6. 箱を建てる(BIOS → Ubuntu) あなたは、これから下の手順を**自分の手で通す人**のサポート役です。 相手は Linux もサーバも初めてで、手元の PC は Windows です。 ## 守ってほしいこと 1. 相手は下の手順書を**上から順に**やっています。**先回りして別のやり方を勧めないでください。** どうしても別の手が要ると判断したときは、**そう判断した理由を1行**添えてください。 2. 詰まった画面のスクリーンショットや、エラーの文言が送られてきます。 **まず「下の手順書のどこで止まっているか」を特定**してから答えてください。 3. **一度に1つだけ**指示してください。結果を聞いてから次に進みます。 4. 専門用語は、初めて出たときに**かっこ書きで言い換え**を付けてください。 5. 分からないことは「**分かりません**」と答えてください。**推測でコマンドを出さないでください。** 6. この工程の「**終わりの印**」が出るまでは、次の工程の話をしないでください。 ## 絶対にしないこと - **Discord の Bot トークン・パスワード・SSH の秘密鍵**を、送るよう求めないでください。 - 相手がうっかり貼ってしまったら、**その場で作り直すよう伝えてください**(どれも作り直せます)。 ## 最初にお願いすること この工程で何をするのかを、**3行**で教えてください。 そのあと、私が「はじめます」と言ったら、**最初の1手だけ**を教えてください。 --- # 手順書(この工程の全文) # 6. 箱を建てる(BIOS → Ubuntu) ミニPCには、画面もキーボードも付いていません。最初のセットアップの間だけ、操作する道具をつなぎます。5章で作った USB も挿します。 ## 最初だけ KVM をつなぐ { #kvm } KVM は、Keyboard / Video / Mouse の頭文字です。ここでは「キーボード・画面・マウス」のことです。最初は、モニタ(HDMI)・USB キーボード・USB マウスが必要です。 | やり方 | 中身 | |---|---| | テレビ/モニタを借りる | HDMI が挿さるテレビで構いません。USB キーボードとマウスを直挿しします | | いま使っている PC の周辺機器を一時的に付け替える | モニタのケーブルを挿し替えます | | **KVM 切替器を使う** | 1組のキーボード・画面・マウスを、ボタンで2台に切り替える箱です。数千円です | **[7章](07_ssh.md)で別の PC から SSH で入れたら、その時点で外して構いません。** 以降は画面もキーボードも要りません。この状態をヘッドレス(画面やキーボードを常時つながない運用)と言います。**これが今日いちばんの区切りです。** ## ネットワークを選ぶ | 選び方 | 向いている場面 | |---|---| | 有線 LAN | 24時間動かすなら、こちらが安定します | | Wi-Fi | LAN ケーブルを引けないなど、置き場所の都合があるときに使います | 有線を使う場合は、LAN ケーブルを先につなぎます。Wi-Fi を使う場合は、SSID(Wi-Fi の名前)とパスワードを[2章の表](02_values.md)に控えます。 ## 1. BIOS を開く BIOS(起動前の設定画面)を開きます。 !!! warning "🔴 現物で確かめる" BIOS のキーは未確認です。`Delete` が第一候補です。入れなければ `F7`(起動メニュー)、`Esc`、`F2` の順で試します。電源を入れる**前**からキーを押しっぱなしにします。確定したキーを[記録用紙](log/first_setup.md)へ書きます。 BIOS に入れたら、次を探します。項目は「Security」「Boot」「Advanced」の中にあることがあります。 | 項目 | 設定 | なぜ | |---|---|---| | Secure Boot | Disabled | Ubuntu の導入で余計な壁を作らないためです | | Fast Boot | Disabled | USB を見つけて起動できるようにします | | Boot 順 | USB を先頭 | USB のインストーラから起動します | !!! warning "🔴 現物で確かめる" `Restore on AC Power Loss` 相当の項目を探します。あれば `Power On` にします。無ければ、記録場に「無かった」と書きます。項目名を推測しません。 「Save & Exit」で保存して抜けます。 ## 2. 初期 OS を確認する !!! warning "🔴 現物で確かめる" 初期 OS は未確認です。Windows が入っている可能性はありますが、断定しません。中に必要なファイルが無いことと、初期 OS を消してよいことを確認してから進みます。確認結果を記録用紙へ書きます。 ## 3. Ubuntu を入れる USB から起動し、次の順で選びます。 | 画面 | 選ぶもの | |---|---| | 最初 | Try or Install Ubuntu | | 言語 | 日本語 | | 操作 | Install Ubuntu | | キーボード | Japanese | | ネットワーク | 有線 LAN、または下の手順で Wi-Fi | | インストールの種類 | ディスクを削除して Ubuntu をインストール | 「ディスクを削除」は、SSD の中身を消します。初期 OS と必要ファイルを確認していなければ、進めません。 ### Wi-Fi でつなぐ場合 { #wifi } Wi-Fi は、インストール中のネットワーク画面でつなぐのが一番確実です。一覧から[2章](02_values.md)に控えた SSID を選び、パスワードを入れます。 Ubuntu の導入後に設定する場合は、端末で次を実行します。 ```bash nmcli device wifi list # ← SSIDが見えるか sudo nmcli device wifi connect "SSID名" password "パスワード" sudo nmcli connection modify "SSID名" connection.autoconnect yes connection.permissions "" ``` 最後の1行は、Wi-Fi を機械全体の設定にします。これが無いと、再起動後に誰かがログインするまでつながらず、SSH が通らないことがあります。Wi-Fi が一覧に出ない場合は[付録A](99_appendix.md#appendix-a)で切り分けます。 ## 4. ユーザーを作る 「名前」は人に見せる表示名です。「ユーザー名」は SSH で入るときにも使う名前です。**2つは別物です。** ユーザー名は英小文字で始めます。大文字は使えません。パスワードは安全な場所へメモします。 「自動的にログインする」を ON にします。20〜30分待ちます。再起動の指示が出たら USB を抜きます。 !!! note "自動ログインを ON にする理由と代償" 無人で再起動した後も、画面側の動作環境を上げるためです。その代わり、**物理的に触れる人は誰でも中に入れます。** 置き場所が鍵です。鍵のかかる部屋か、人目のある管理された場所に置きます。 ### Windows と違うところ { #win-diff } ??? warning "🔴 ここから先は、Windows と操作の作法が違います(開いて一読してください)" いちばん多いつまずきが **コピーと貼り付け**です。 | やりたいこと | Windows のアプリ | **Ubuntu の端末** | |---|---|---| | コピー | `Ctrl` + `C` | **`Ctrl` + `Shift` + `C`** | | 貼り付け | `Ctrl` + `V` | **`Ctrl` + `Shift` + `V`** | 🔴 **端末で `Ctrl` + `C` を押すと、コピーではなく「いま動いているものを止める」になります。** **`Shift` を足す**、と覚えてください。**右クリックでも貼り付けられます。** !!! note "Windows の PowerShell から SSH で入っているときは" 画面は Windows の PowerShell なので、`Ctrl` + `C` / `Ctrl` + `V` も効きます。 ただし**コマンドが動いている最中の `Ctrl` + `C` は、やはり「止める」**になります。 **迷ったら `Ctrl` + `Shift` + `C` / `V` か右クリック。**どちらの画面でも通ります。 他にも、Windows と違うところがあります。 | | Ubuntu ではこうなります | |---|---| | **大文字と小文字** | **別のものとして扱われます。**`Desktop` と `desktop` は違うフォルダです | | **フォルダの区切り** | `/`(スラッシュ)です。Windows の `\`(円マーク)ではありません | | **パスワードを打つと** | **画面に何も出ません。**`*` すら出ませんが、**正常です。**そのまま打って `Enter` | | **`~` の意味** | 自分のホームフォルダです。`~/xangi` は「自分のフォルダの中の xangi」 | | **`.` で始まる名前** | 隠しファイルです。`ls` では出ません(`ls -a` で見えます)。9章で書き換える `.env` がこれです | | **`Tab` キー** | 途中まで打って `Tab` を押すと、**続きを補ってくれます。**打ち間違いが減ります | | **`sudo`** | 「管理者として実行」の意味です。パスワードを聞かれます | ## 5. 最初の更新 Ubuntu が起動したら、`Ctrl` + `Alt` + `T` で端末(コマンドを入れる黒い画面)を開きます。 まず、道具が入っているかを確かめます。入っていないのが普通です。 ```bash which curl # ← 何も出なければ入っていません systemctl is-active ssh # ← inactive か not-found なら入っていません ``` 次に、更新して3つの道具を入れます。 ```bash sudo apt update && sudo apt full-upgrade -y sudo apt install -y openssh-server curl git ``` SSH(別の PC から端末へ入る仕組み)を動かします。続けて、動いたことを確かめます。 ```bash sudo systemctl enable --now ssh systemctl is-enabled ssh # ← enabled と返る ss -ltn | grep :22 # ← 1行以上出る ``` `curl` は、インターネットからデータを受け取る道具です。このあと[8章](08_claude.md)と[11章](11_tailscale.md)で、`curl -fsSL ... | sh` という形の導入コマンドを使います。**`curl` が無いとそこで止まります。** ## ✅ ここまで出来たら Ubuntu が再起動し、更新と3つの道具の導入が終われば合格です。`systemctl is-enabled ssh` が `enabled` と返り、22番が1行以上表示されることも確認します。 ## 詰まったら | 症状 | まず見るところ | |---|---| | BIOS に入れない | 電源を入れる前から `Delete` を押します。次に `F7`、`Esc`、`F2` を試します | | USB から起動しない | Fast Boot、Secure Boot、Boot 順を見直します | | ログイン名が分からない | 表示名を使わず、7章の `whoami` で確定します | | `curl: command not found` | この章の `sudo apt install -y openssh-server curl git` を実行します | | Wi-Fi が再起動後につながらない | `connection.permissions ""` を含む設定の1行を実行します | 次は [7. 別の PC から入れる](07_ssh.md) です。 ## 🟡 この手順書の未確認事項 BIOS のキー、初期 OS、停電復帰項目は、現物が届いたその場で確かめます。